皆様、こんにちは。特殊清掃センターの村上です。アニメや漫画、小説や映画などで遺体が腐敗して溶けている場面をご覧になられたことはございますでしょうか？

あれはフィクションではなく、実際に起きることなのかという質問をいくつか受けたことがあります。特殊清掃では遺体が半分以上溶けているケースはざらにありますし、溶ける理由もいくつかあります。そしてそれとは対に溶けないようにする方法もあります。今回は【なぜ遺体は溶けるのか】、【溶けるとどんなことが起きるのか】、【溶けた際の知っておくべきデメリットと対策方法】などを解説させていただきます。

遺体の体が溶ける理由4選

私たち人間は体を洗わなくても表面の皮膚以外溶けることはありません。心臓が動く限りは免疫システムの働きによって遺物や病原菌を排除する機能があります。細胞が死んでも新しい細胞が産まれるので溶けることはありません。ですが心臓が止まることによって人間の体は徐々に変化していきます。遺体の体に起きる働きを４つ解説いたします。

微生物の分解

死後、体内の細胞や真菌などの微生物が活動し、脂肪や炭水化物などの有機物を分解します。これにより遺体の体の組織が崩れ、液体（体液）が生成されます。この生成される体液は微生物たちの餌となり、繁殖が進んで腐敗の進行速度が加速します。

酵素の動き

酵素は化学反応を促進するため、死後に体内で活性化されます。これにより、細胞の構造や化学物質が分解され、組織が液体状に変わります。

脂肪の分解

特に微生物によって脂肪は容易に分解され、脂肪酸が生成されます。この過程で組織が崩れ、遺体が溶けるような状態が生じます。

細胞の自己分解

死後、細胞の中にあるリソソームと呼ばれる小器官が活性化され、自己分解が進みます。これによって細胞が崩れ、遺体が液化します。

溶けるとどんなことが起きる？

「遺体が溶けたらどうなるのか」、これを知らない方は数多くいられます。後になって後悔する前に溶けるとどうなるかの知識をつけておきましょう。

非常に強い悪臭が漂う

体液の臭いは他の臭いに例えることはできないくらいくらい独特な悪臭がします。体液独特の臭いは周囲に広がり、近隣住民の方々が必ず異変に気付きます。やがて管理会社、管理人の方へ連絡が入って部屋を確認し、警察へ通報といった過程につながるでしょう。窓や扉を閉め切っていてもわずかな隙間から臭いは広がるので、近隣の方々が気づかないといったケースはほとんどありません。それくらい強い悪臭が発生するのです。

体の原型が崩れていく

皮膚、筋肉が液体に変化していくので最後まで溶けると骨のみになります。髪の毛や体毛なども皮膚が溶ける段階で共に抜け落ちます。液体化するスピードは気温や室内の環境によって変わります。

大量のハエ、蛆虫が産まれる

ハエは換気口やわずかな隙間から容易に侵入することができ、体液を求めて集まってきます。そして卵を産み落とし、蛆虫が産まれます。蛆虫は動かずとも体液を摂取することができるため、ハエに成長してまた卵を産むといったループ状態になります。体液に触れたハエが壁や天井に触れることにより、汚染個所は拡大していきます。

溶けた際の知っておくべきデメリット4選と対策方法

体が溶けたとしても危険はあるのか？答えはＹＥＳです。どんな危険があるのかを知らないまま身内の方が手をつけて状況が悪化するケースもありました。では、どのような危険があるのかについて解説していきます。

周囲への環境的影響

一番被害が多いのは共に暮らしているペットです。餌はもちろんのこと衛生面の悪化によって時間と共に衰弱していき、やがて死に至ります。特殊清掃業者は人の特殊清掃だけではなく、ペットの遺体も回収することがあります。心が痛い話ですが実際にあることなので、ペットを飼われている方は何か対策案を身内の方々と話し合うことを強く勧めます。

感染症にかかる可能性が高い

体液には故人の方が患っていた病気を含んでいます。そして恐ろしいことにこの病気は感染します。体液が粘膜に触れると粘膜から侵入し、感染するといったケースも過去にありますので絶対に触れないようにしましょう。空気感染まではいきませんが、体に良くない臭いなので、あまり近寄るのも避けた方が安全です。

法的な問題が生じる可能性がある

身内が亡くなったから自分たちで何とかしようとすると、法的な問題が生じる可能性があります。まずは気持ちを落ち着かせて警察に電話してください。警察はその後どうすればいいかを説明してくれるので、警察の指示に従ってください。

心理的影響

遺体の強烈な悪臭により、近隣住民や通行人に対して精神的な苦痛をもたらす可能性があります。特殊清掃は近隣住民のご協力の元清掃をすることができるため、それらの人々とトラブルを起こすと何もできなくなります。周囲の方々の生活に被害を与える形に繋がる前に、早急な対応が求められます。

対策方法

室内で亡くなられている場合は、部屋の気温を下げることです。気温が高いままだと腐敗して溶けるまでの時間が早くなるため、エアコンなどを使うのが何よりも腐敗の時間を遅らせることができます。ですがまず何よりも最初にしなければいけないことは警察への連絡です。そして次に管理人や管理会社への連絡、そして可能であれば近隣住民の方々に周知するほうがトラブルになりにくいです。それ以降は警察の指示に従って行動しましょう。

まとめ

いかがでしたでしょうか。我々人間の体は溶けますし、様々な問題につながるということを皆様にお伝え出来たと思います。この記事が読者の皆様のお力になることを祈っております。最後まで読んでいただきありがとうございました。